今こそ考えておくべき省エネ活動

建造物に緑を増やそうという試み

特に都心部においては近年、屋上緑化、または壁面緑化を実践しようという動きが盛んになってきています。屋上緑化や壁面緑化には見た目が良くなりヒーリング効果が増すという視覚的効果以外にも様々なメリットがあります。例えば、緑化することで夏場は温度上昇を軽減して涼感が増したり、冬場は保温効果が増して省エネ促進につながったり、紫外線などから建造物を保護することが出来るなど、その効果は様々です。

そのようなメリットが見込まれることから屋上緑化、壁面緑化は日本では政府主体で実施されています。そのような水深もあり、2000年頃からの15年間で約413ヘクタールの屋上と約68ヘクタールの壁面が緑化されており、継続してその活動は行われています。

 

緑化対応の広がりについて

屋上緑化や壁面緑化はどのように広がりを見せているのでしょうか。

まず屋上緑化についてです。2000年に実施された施工面積は135,000平方メートルでした。ピーク時は2008年で387,000平方メートルもの緑化が実施されており、2000年比ではおよそ3倍近くの施工がされています。その後、2014年ころには250,000平方メートル程度まで施工面積は落ち込みを見せていますが、これは2008年のリーマンショックをピークに建築物の着工数が減少しているためと言えます。屋上緑化は主に新築物件に対して施工されますので、徐々にリーマンショックによる建造物着工件数の落ち込みから回復していくとともに、緑化の施工面積も上向き傾向にあります。

また、壁面緑化についてですが、2000年は2,300平方メートル程度の施工面積でしたが、2011年をピークに92,000平方メートルほどの施工が行われるほど広がりを見せています。屋上緑化や壁面緑化は2000年からの政府の呼びかけに応える形で推進されていると言えるでしょう。

 

しかしながら、いくら緑化することにメリットがあると言っても、コストがより必要になってしまうようでは、なかなか緑化活動が広がり続けることは難しくなってしまいます。そこで、緑化事業に対して無利子での融資の貸し出しや、補助金を出すなど助成制度を設けている自治体などもあります。

また、条例などを定めることで緑化推進を進める自治体もあります。東京都では「東京における自然の保護と回復に関する条例」を定め、一定規模以上の民間施設や公共施設を建造する際の緑化計画の提出などを義務付けています。

 

クールルーフ技術とは

緑化によって期待できる具体的な点についてご紹介します。

夏場において、部屋の温度を高めてしまう原因は、外あるいは屋根から伝わる伝導熱です。特に都会ではビルなどが数多く立ち並ぶことで起こるヒートアイランド現象が課題となっています。ヒートアイランド現象によって、郊外よりも都市部の気温が上がってしまい、その結果冷房などの過剰仕様が行われてしまうという悪循環です。

そこで、部屋の温度を高めてしまう伝導熱を極力少なくしようと考えられている技術が「クールルーフ技術」です。クールルーフを実現するための技術には主に3点あり、前述している緑化に加え、蒸発利用と高反射化という技術があります。蒸発利用は雨水の貯蓄や、水の潜熱を利用する技術で、特に昼間のヒートアイランド対策に効果が期待できます。また、高反射化は日照の反射率を下げることで部屋内への入熱を抑制しようという技術で、こちらもヒートアイランド対策や省エネ効果が期待できます。それに加えて緑化をすることで、景観形成の向上にも役立つことが出来るようになります。

 

緑化対応における問題

良いことばかりのように思われる緑化対応にも問題はあります。

緑化するためには当然ながら植物を植え付ける作業を実施するため、その植物の維持管理が必要になります。植物の成長には水が必要です。定期的に水を与える仕組みや場合によっては人手作業などの人件費が必要です。

また、建築の際にも植物には土が必要ですので、屋上緑化の場合には土壌の投入も必要です。よって建物にかかる荷重も、緑化対応しない場合の建物に比べると多くなり、耐震性への考慮が必要になります。また、風などで植物が吹き飛ばされないような対策のための費用も必要になるでしょう。

これらのような問題もあることから、建築物に対する緑化対応をする場合は、設計段階からコストや運用方法ついて十分な検討を行っておく必要があると言えそうです。

 

緑化対応の事例紹介

大阪市浪速区にある複合商業施設「なんばパークス」は、緑化を積極的に行った事例です。2階から8階までの屋上庭園を含め、5,300平方メートルにもおよぶ緑地整備を実施し、貸し農園スペースも完備し、一部を市民に提供しています。こういった事業戦略的な取り組みは高く評価され、ヒートアイランド対策効果の測定や、生物調査が行われるなど、その効果に期待が持たれています。

また、中部電力ではつる性植物による緑のカーテンによる省エネ活動の効果を実証しています。実証実験では、ゴーヤーが緑のカーテンに最適という意外な結果も示されています。葉がよく茂り、一年生植物であることがその理由ということです。