施工の前に知っておきたい「屋上緑化の基礎知識」

屋上緑化を安心して取り入れるには、造園だけでなく建築・環境・法規などの知識が必要です。


 <環境に対する効果>

◾︎大気汚染、都市型気象・洪水の緩和

植物が持つ大気汚染物質(NOx,SOx,ディーゼル粉塵など)や温室効果ガスを吸収浄化・固定し、新鮮な酸素を放出する機能や、

土壌による雨水流出の遅延、植物の日陰効果などにより、ヒートアイランド現象などの都市型気象現象を緩和します。

◾︎生物多様性の確保と注意点

屋上緑化によって、地上の地上の緑とのネットワークが形成され、都市の中の豊かな生態系作りに貢献します。

しかし、周囲の生物多様性の環境を崩す要因となる、種子の飛散性や繁殖性の高い外来種の植物を植えてはいけません。

 

 <建物に対する効果>

◾︎省エネ効果

夏の日中の屋上表面温度は、屋上緑化されている場合とされていない場合とで比べると、なんと約37℃の差があります。

そのため、室内のエアコン使用量が減り省エネに貢献します。

そして、冬は寒さを緩和します。

そうしたことで「緑化は夏涼しく冬暖かい」といわれています。

◾︎建物の保護

正しく作られた屋上緑化は、建物の防水層への直射日光や風雨などを遮り、建物の防水層の劣化を遅らせます。

 

<建物の耐荷重、耐震性の確保>

◾︎積載荷重値に収まる設計

屋上緑化で重要なことの一つです。

建築基準法で定められた積載荷重(建物の床面に乗せられる物・人の重さ)の値に収まる範囲で屋上緑化は行います。

一般住居では、床設計時の積載荷重=180kgf/㎡、地震力算定時の積載荷重=60kgf/㎡となり、通常の土壌を用いた緑化ではこの値に収めることが難しいため、軽量土を用いるなどして施工します。

樹木は、部分的に中木(2~3m)程度まで用いた緑化が可能です。


<雨漏りをおこさない設計>

◾︎排水、防水を妨げない設計

積載荷重と同様に、屋上緑化で重要なことの一つです。

屋上には防水層加工が施されています。

その防水層を傷つけないよう、耐根シート(植物の根が防水層に届かないように食い止めるシート)や保護層を設けた設計をしなければなりません。

建物の防水加工の状況により、場合によっては新たに防水加工をしなおす必要もあります。

また、排水溝からの排水を妨げない土壌基盤の設計が必要となります。

ベランダの防水層は、屋上の防水層に比べ弱い処理がされていることが多く、ベランダ緑化はプランターによる方法が推奨されています。

 

<一般造園とは異なる植栽計画>

◾︎風対策

屋上緑化では、風に対して強い植物選びを考えなければなりません。

倒木、幹折れしやすいシダレヤナギ、アカシア、ユリノキなどは向きません。

また、成長が早いイチョウ、ケヤキ、サクラ類なども避けます。

風・鳥による種子の散布がある樹木も屋上緑化には向きません。

植栽レイアウトも、四隅・周辺・中央部と風の影響が異なる屋上に対して考慮した植物の配置を行います。

◾︎耐根対策

殆どのタケ類・ササ類は地下茎が伸びる力が極めて強く、耐根シートで食い止めることができないほど根が強く、根が建物の防水層に達してしまう可能性があり屋上緑化では避けたほうがよい植物です。

 

<メンテナンス>

◾︎植物の管理

植物を活着させるための潅水、根鉢、土管理を植栽後1年間ぐらい行います。

その後、植物の保護・育成管理に加え、成長しすぎて重量が増えすぎないようにする抑制管理が必要です。

◾︎排水・防水の点検

漏水のトラブルを起こさないよう半年に1回以上、排水溝・防水層・排水層などの点検が必要です。