施行の前に知っておきたい「壁面緑化の基礎知識」

壁面緑化を安心して取り入れるには、造園だけでなく建築・環境・法規などの知識が必要です。


 

<環境に対する効果>

◾︎ヒートアイランド現象緩和

壁面緑化は、日照で暖められた建物の壁面から放出される長波放射や顕熱量を緩和するため、ヒートアイランド現象緩和に効果を発揮します。また、室内の温度上昇を緩和しエアコン消費量が減ることで省エネ効果ももたらします。

◾︎生物多様性の確保と注意点

壁面緑化によって、街中の緑の量が増え景観が向上することに加え花の付く植物を取り入れることで、チョウやミツバチ、鳥などが飛来し都市の中の豊かな生態系作りに貢献します。

しかし、周囲の生物多様性の環境を崩す要因となる、種子の飛散性や繁殖性の高い外来種の植物を植えてはいけません。

 

<法的規制の把握>

◾︎居室の採光基準の順守

壁面緑化の基盤部材で開口部からの採光を遮断し、法的基準値を下回ってはいけません。

※例:住宅の採光面積→居室面積の1/7以上、学校教室の採光面積→教室面積の1/5以上

◾︎避難・消防用通路の基準値の確保

建築基準法や消防法によって定められた避難通路の最低幅を確保しなければなりません。

また、隣地境界線並びに道路中心線から5m以下の場合は、基盤部材に防火性能を有したものを用いなければなりません。

 

<風に対する対策>

◾︎耐風設計

建築基準法と国土交通省の壁面の外装材等におよぼす風の強さの告示に基づいて安全性を確保した設計を行うのが望ましい。

「緑のカーテン」が強風にあおられて、取り付け杭や手すりが破損する実害も報告されており、特に高層階の住居では注意が必要です。

風上側の風(正圧)だけでなく、建物の側面を回り込んだ風下側の風(負圧)も大きな圧がかかることを考慮する必要があります。

 

<植物の選定>

◾︎施工場所の環境・工法に合ったものを選ぶ

壁面緑化を行う場所の「方位」「風」「目的」「工法」に合った植物を選びます。

日当たりを好むか嫌うか、乾燥に強いか弱いか、風に強いか弱いか、ツタは登坂するのか垂れ下がるのか、目隠し目的か景観向上が目的かなど、それぞれの条件をクリアする植物を検討し選定していきます。

 

<水やり管理>

◾︎自動潅水装置の設置

壁面緑化(カセット式などのユニットを使用する場合)と地植えの最大の違いは、土壌の量です。

土にあたるものが少ない壁面緑化では、水やりの管理が最重要ポイントとなります。

そのため、タイマーで水やり時間・タイミングを設定し自動的に潅水させる自動潅水装置の設置は必須と言えます。

当社で過去に「水やりは自分たちで行うので潅水装置はいらない」といわれ仕方なく人力での水やりを行う壁面緑化を施工したことがありますが、垂直面への手での水やりは無理があり何度も植え替えを行う結果となっています。

 

<メンテナンス>

◾︎設備不具チェック・追肥・潅水装置設定

壁面緑化のメンテナンスは、工法によりその頻度は異なります。

地植えのツル性植物をワイヤーなどに絡ませる登坂型の壁面緑化は通常の植物の管理と変わりませんが、ユニット型の壁面緑化は、月に1回目安の設備チェック・2ヶ月に1回目安の肥料追肥・季節に合わせた潅水装置のタイマー設定などのメンテナンスが必要です。

規模が大きい場合は、メンテナンスにかかる維持管理費用を考慮する必要があります。